『カタハネ』 プレイレポート



百合ゲー界のベジータ(?)、「カタハネ」のレビューっぽい感想。
あまり参考にならないと思います。
「あらすじとか」まではネタバレ無し。



・まず

製作は
Tarte、原画は笛氏です。

内容物一覧。
・箱
・ゲームディスク(DVD1枚)
・ユーザガイド

ノーパソの上に置いて撮影しています。
百合百合しい萌えイラストをあしらった、薄くてオサレな箱です。
これだけで購買意欲をそそられます。


動作環境は以下の通りです。

OS:日本語版 Windows 98/Me/2000/XPが正常に動作する機種
CPU:Pentium3 450MHz以上必須、Pentium3 800MHz以上推奨
メモリ:128MB(WinXPの場合256MB)以上必須、512MB以上推奨
サウンド:PCM
HDD:1.5GB以上推奨
解像度:800×600以上表示可能な環境
色数:ハイカラー(16bit)以上表示可能な環境
DirectX9.0c以上

ディスクレスプレイ可能。
インストールディスクを覗いてみると、中にOMAKEフォルダが入っていて、声優さんのインタビューとシステムボイスが入ってます。いい仕事してます。



全店共通の予約特典はスティックポスターです。店別の予約特典で、テレカを始め、設定資料集やドラマCDとかもあったみたいですが、財力の乏しい身ですので、購入は一店からのみ。特別な特典は持ってません。
欲しすぎる…せめて初回生産版に同梱して欲しかった!!

余談ですが、サントラをTarteのサイトから通販したらスティックポスターくれました。
いい会社です。これで保存用と展示用ゲットです。




・システム周り


 音声再生機能付きバックログ、オートモード、既読、未読スキップに加え、クリア後はシーン回想、音楽鑑賞モード、CGモードがあります。標準装備。
 尚、音声は男性キャラ含めフルボイスです。

 基本は物語を読み進めていく、普通のAVGですが、本作ならではの特徴は、物語の途中で何度もキャラの視点が切り替わる点です。
 切り替わる度にキャラ名が表示されて分かり易いのですが、オートモードでも、キャラ名が表示された場面では画面をクリックしないと次に進んでくれません。面倒なので、「視点切り替え画面もオートで進む」みたいな設定も出来るようにして欲しかったです。

 また、誰の視点にするか手動で選べるシステムもありますが、そこまで変更する機会はなかったし、通常の選択肢もあるので、ちょっと中途半端だったかも。
 せめてHシーンで視点変更できれば…ごにょごにょ


 もう一つ特徴的な部分として、F5キーで画面キャプチャできること。これはすごく便利で、かなり多用しました。savedataフォルダにbmp画像が保存されます。気を抜くと、すぐ100枚とか溜まります。
 他の会社も、キャプチャ機能付けようぜ!




・あらすじとか

ストーリーは、クロハネ編(過去)、シロハネ編(現代)にわかれています。

【クロハネ編】
 この世界には、赤(カーディナル)と青(ブリュー)と呼ばれる大国が存在していました。この両国が『平和の象徴』としてお互いの王家の血を引く者を婚姻させ、国境に白(ヴァイス)を建国しました。

 この度、記念式典を開くことになり、この白の国の「クリスティナ」姫と、赤の国の国宝である人形「エファ」、青の国の人形「ココ」三人が、舞台劇「天使の羽ばたき」を演じることになりました。
三人は白の国の城で、劇の練習に励みながら交流を深めていきます。
やがて劇のリハーサルを迎えるココたちですが、この劇には、三国の友好状態を快く思わない者たちによる陰謀が隠されているのでした。

【シロハネ編】
 歴史学者を目指す青年、「セロ」は、古い人形「ココ」と暮らしていましたが、ココのメンテナンスのため、白銀の村へ行くことになりました。この旅に同行した、幼馴染みで小説家志望の「ワカバ」は、勢いで演劇祭にエントリーしていました。ワカバは、今まで曰く付きとされてきた史実の劇「天使の導き」をアレンジした脚本を書いていました。
 ワカバの劇のために、各地で役者を集める旅をすることになったセロたち。美しい人形「ベル」や、役者のたまご「アンジェリナ」と出会いながら、旅を続けています。果たして劇は成功するのでしょうか―――。



 ストーリーの順番は、【シロハネ編】→【クロハネ編】→【シロハネ編】
アンベル、セロとワカバ、ココの、3エンディング、3周のプレイでコンプリートできました。
結構ボリューム多めです。正直意外でした。


びっくりするほどあらすじ書くのが下手です。すみません。
全然面白さが伝わりませんが、やってみると面白いんで。

過去のクロハネ編はweb配信されていますので、プレイ前にやっているといいと思います。
シロハネ編で、たまに伏線っぽいものが出てきますので。それが泣けるの何のって。


・ストーリー補足(体験版ネタバレ?)

 
 クロハネ編(過去)では、クリスティナ姫の後見人として、「アイン」という人物が出てきます。彼は、口数は少ないものの、姫のことを第一に思い、主に忠誠を誓う良き人物でした。
 ところがシロハネ編(現代)では、アインは、忠義を誓っていたふりをして姫を裏切った、逆賊として伝えられています。
 ワカバの脚本は、これまでの史実をひっくり返した、「アインが実はいい人」をコンセプトにした、ハッピーエンドの物語です。旅をする中で、実際にアインがどういう人物であったかを調べていきます。なぜアインが逆賊とされてしまったのか―――、それが本作の中心です。




・個人的主要キャラクター

 百合を主張していますが、作品の雰囲気はそこまで百合ではないかと思います。男キャラも、この手のゲームにしてはかなり出てきます。
編別にキャラを紹介します。それぞれ、紹介文の下を反転することで、ネタバレ所感。

【クロハネ編】

・クリスティナ(声:安玖深音)

 白の国の姫で、 国王亡き後、アインを後見人として国を治めている。白の国に代々伝わる人形技術を受け継いだ調律師でもある。
 調律師とは、人形の精神科医のようなもので、繊細な人形のメンタルケアを専門に行う。
 とても心優しく、家臣に慕われている。

 詳しくは後述しますが、普段とエロシーンとのギャップに萌えます。
姫様とエファ、デュアの三人で過ごすハッピーエンドが見たかった…!(泣)



・エファ(声:五行なずな)

 当時の技術を駆使して作られた人形で、赤の国の国宝。演劇用に作られたが、歌を歌うこともできる。国宝として大切にされているので、劇が終わるとすぐにショーケースに収められてしまうため、他者との関わりの機会が少ない。今回、白の国の式典で演劇を行うため、特別に貸し出された。
 ウソをつくのが苦手。
 人形は、人形石という石を用いて動いており、その石は記憶や行動を制御している。人形という存在の特殊なところは、「歳をとらない」、「人形石の概念」のみで、それ以外は人間と全く一緒。

 最初に「嘘がつけないように作られている」と言っていたので、シナリオでは、それがポイントになるのかと思っていましたが、実は、「嘘がつけるほど物事を知らない」という設定。つまりは、世間知らずの少女と言うことです。
 人間らしすぎて、終盤以外では人形という設定があまり感じられないと思いました。ストーリーはまとまっていてよかったですが、本当に「嘘がつけないように作られている」方も見てみたかったかも。



・ココ(声:成瀬未亜)

 青の国の老技師が作った、頑丈さや耐久力を重視して作られた人形。人形石が外部装着可能という、この時代には革新的なアイデアが用いられた造形で、純粋な、子どものような心を持つ。
 記憶石の容量が少ないのを補うため、記憶の部分リセットの機能が備わっている。
 人の死の概念が理解できない。

 純粋故に、いろいろな場面で泣かせてくれる…!!!
 よく分からないのに涙が出る、とか…!
 アインにマカロンを貰うエピソードがすごく好きです。萌えとかじゃなく、ただ、純粋に好き。



・デュア(声:三咲里奈)

 白の国最強の剣士で、クリスティナの護衛隊長。寡黙だが、心を許した人間とは普通に喋る。貴族の名門として名高いカールステッド家の生まれである。
 甘いものが好き。

 アインにデレるデュアが萌える。それも、最近の量産型デレデレではなく、全然デレてないデレ。
 でもいろいろと切ない…(涙)。ネタバレはしたくない。


・アイン(声:富士爆発)

 若いクリスティナに代わり、摂政として国を治めている、クリスティナの後見人。日々雑務に追われている。
 ココと過ごす時間が、執務中の癒し。

 実は本作の影の主役。
 登場時はどうでもいい存在として気にしてなかったけど、姫様思いのいい人だ、と。
 最後の最後、ココにデコチューしてるCGがヤバいぐらい泣ける!(こんな言い方すると全然泣けそうにないけど。





【シロハネ編】

・アンジェリナ(声:安玖深音)

 青の都の孤児院で暮らす。昼は肉屋でバイト、夜は演劇の練習をしている、役者志望の少女。かなりはっきり言う性格で、ワカバと言い争いになることもしばしば。
 異性が少し苦手。

 真性レズビアン!!(えー
 安玖深さんの強気ボイスがいい感じです。ワカバとすぐ言い争うのも微笑ましい。
 超ネタバレですが、よく見ればアンと姫様って、顔は全然似てないですよね。普通にワカバの方が似てる。



・ベル(声:五行なずな)

 人間国宝の人形技師、レインの元で暮らす人形(この時代ではシスターと呼ばれている)。作られてすでに50年以上が経っている。普段は村の子どもと遊んだり、レインの手伝いをして過ごしている。
 歌うのは好きだが、人前では緊張して歌うことが出来ない。

 五行さんの声がとにかく萌え!!
 見れば分かりますがアンとクリスティナ、エファとベル、ココは、同じ声優さんが担当しています。アンと姫様は全然違うタイプなんですが、エファとベルは同系統です。が、ちゃんと声色が変えてあって、もう本気で凄い!
 声のことしか言ってない…でも、性格は普通に大人しい系で、そこまで萌えないかも。容姿と声がイイ!!
 あ、でも、自分の中のエファの幻影と葛藤する当たりはすごく好きでした。



・ココ(声:成瀬未亜)

 セロと暮らす、古い人形。セロが幼少の頃からずっと一緒にいる。発音に障害があるが、身振り手振りで言いたいことは伝わる。

 マカロン食べてるぅっっ!!!(泣)
 意味不明甚だしいですね、はい。
 ココは一番の長生きで、クロハネ編のココそのものです。昔の記憶を失っているのですが、ときおりクロハネ時代の行動をします。それがもう、泣かせる!!



・セロ(声:かわしまりの)

 歴史学者だった亡き父と同じ道を歩むべく、史学を専攻している青年。同じ街に住むワカバが一番の友達で、最近女の子として意識している。

 特に言うことない(酷)。
 いや、だまされやすいけど、いい人ですよ。
 Hシーンのボイスでは、男キャラだけど声優さんは女性だよな、と思うと、仮想百合体験ができます(意味不明)。…男キャラのボイスの需要のなさが可哀想。でもいらん。



・ワカバ(声:佐本二厘)

 母親が経営しているパン屋を手伝いながら、小説家を目指して物語を書いている。
 地元の演劇祭に勢いでエントリーしてしまい、出演者を集めるため旅をすることに。

 最初、思いこみ激しすぎな性格がそこまで好きではなかったです。が、慣れると可愛く思えてきます。「きぃ〜〜っ!」が萌え。
 一般的なツンデレと見せかけて、意外とツンツンしてません。



・ライト(声:佐本二厘)

 ワカバの弟で、ココの遊び相手。やんちゃ盛りと見せかけて、意外としっかりしている。
 アンジェリナに惚れる。

 アンに一目惚れした、不毛な少年。少年なんだから軽くあしらえばいいものを、戸惑うアンが萌える。…って、アンの話してるじゃん。
 ワカバとライトの喧嘩は、佐本さんの一人芝居になるんですが、すっごい上手い。有名な方だから今更ですけど。

 


・パウラ(声:五行なずな)

 アンジェリナと同じ孤児院に住む少女。脇役だけどイベントCG有り。

 声は、エファ、ベルと同じく五行なずなさんです。言われたら分かるけど、一瞬わからない。五行さんすげぇ!!と思いました。それだけです。
 五行さんをプッシュし過ぎで鬱陶しいですね、すいません。でも、好きなものは好きだからしょうがない。




・同性愛について


 本作の肝である百合
 カップル自身や周囲の価値観によって、ノリが変わってくる要素ですが、本作では、

 性差なんて関係ない。
 そこに愛があればいいんじゃない?

 …って感じです。

 若干ネタバレですが、具体例を挙げると、
 アンジェリナは、自分がベルに特別な感情を抱いていることに気付きます。相手が歳をとらない人形であると悩みますが、「それ以前に女同士だろ」という突っ込みは入りません。
 一方周囲も、「二人はお似合いだよ」などと祝福ムード。同性愛であることを強く意識させられる場面はほとんどありません。劇の脚本を書いているワカバは、普通に「姫様と人形は、とってもラブラブだったのよ!」とか言って盛り上がっています。



ここからは反転無しでネタバレ全開です。

・Hシーン

 回想枠はクロハネ編で3回、シロハネ編で6回(内、3回が百合)です。
 失礼ながら、Hシーンでのエファ、ベルのデッサンが崩れがちですが、惚れた欲目で見ることにします。


個人的に好きだったシーン【クロハネ編】

 当時の凄腕調律師だったクリスティナ姫。調律師という立場を利用したシーンが最高。普段は清楚で心優しいお姫様なのに、巷のエロゲ主人公並みのベッドヤクザっぷりを見せてくれます。
「アナタに、今まで誰にもしたことのない調律をしてあげる」って、どう見てもセクハラです。ありがとうございました。(萌)という感じです。

 でも、期待していてなんですが、「泣き」サイドとも言えるクロハネでのエロシーンは、雰囲気壊れます(特に『調律という名のセクハラ』は)。アインが一人悩んでいるのに、姫様とエファが部屋でイチャこいているのは…(笑)。
 そういうわけで、何度も言いますが、先にクロハネ編の体験版(Hシーン無し)やってるといい感じです。


個人的に好きだったシーン【シロハネ編】

 シロハネ編の百合エロは全部好きでしたが、中でも青姦。シーン中のCGすべてが、すんごい萌える!!!
あとは、お祭りのあとの、民家での初Hも良いです。ベルに襲いかかる、ロングスカート姿のアンが凄いエロい。つうか、アン、ベルといい、セロ、ワカバといい、人の家で初めてというのはどうなのか…シーツを汚した理由を考えているあたりがリアル。

 ところで、その昔、アンには、マリオンという「お姉さま」がいました。アンが一方的にそういう目で見ていただけで、マリオンは至ってノーマルです。そんな、お姉さまの前では受けっぽいアンが、ベル相手には攻めてるのがなんか萌えます。でも、マリ×アンも見てみたい。誰か描いてください。



・ちょっと不満


着衣エロが無い!!!


百合で好きなところの一つは、スカート同士で交わっているという倒錯的な構図が拝めるところです、が、それが全然無いです。全裸か、どっちかだけ着てる、とか、下着とか。
ファンディスクでは、ぜひとも着衣でお願いしたい!!




・コンプしての感想


 凄い達成感が得られます。

 全体としてすごくいい話で、プレイ後のなんともいえない充実感は、ぜひ体験して欲しいです。



 ただ、冷静になって考えてみると、重大な問題が。

 ベルが、ワカバ版「天使の導き」の役者を引き受けるに当たり、序盤でかなりごねていました。ベルの引き受ける人形の役には、歌うシーンが含まれているのですが、ベルは人前で歌を歌うことが出来ません。そんなベルですが、アンと出会い、旅の中で少しずつ人前で歌えるように練習してきたのです。
 練習では、緊張をほぐすという人形石を用いて(いわゆるドーピング)人前で歌を披露したベルですが、アンには「そんなの本当の歌ではない」と言われ、理解できずすれ違い、仲直りして…と、エピソードが盛り込まれていました。果たしてどう克服するのか、ドキドキしていたのですが、

まさかの劇本番、特に歌うシーンなし

主題歌の二番の歌詞に「舞台の上 ワタシは歌う」とまであるのに…。

 あくまでもストーリーの中心は、本当の過去と、史実との違いにあるのですが、エンディングの一つとして、ベルの歌は入れて欲しかったです。ベルファンとしても、五行さんファンとしても。

 ただ、そういった問題点も、プレイ後の雰囲気でなんとなく誤魔化されてしまいます。いい意味で。

 そして、五行さんがひたすら好き(しつこい




 最後に、超ネタバレなのですが、ワカバがなんであんなに百合に寛大だったのかと思いましたが、クリスティナ姫の子孫だったとは。成る程、頷けます。
あと、最後の劇の、マリオン扮するアインに惚れた(笑)。どう見ても別人。







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